天鉄局NB運転区

国鉄天王寺鉄道管理局で活躍した車両の話題を中心に、鉄道模型(Nゲージ)とBトレインの話題なども記してゆきます。

紀伊半島を巡る多層建て急行

昔は多層建て列車が頻繁に走っていました。
特に急行列車全盛期、それも短編成で列車が組める気動車急行ではそれが多かったようです。

天鉄局の受け持ち列車をいろいろと調べている内に、紀伊半島を巡る不思議な多層建て列車を見つけたので紹介します。

題材は昭和43年10月の時刻表から。
いわゆる「ヨン・サン・トオ」と呼ばれたダイヤ改正の実施された時です。

紀勢本線新宮駅を 8:25 に出発する「しらはま1号」は名古屋行き(紀勢西線経由)の列車です。白浜に到着後、白浜始発の天王寺行「きのくに4号」を併結します。
そして紀勢西線を北上し、この年の3月に東和歌山駅から改称された和歌山駅に到着します。ここで「きのくに4号」を分割し「きのくに4号」はそのまま紀勢西線を北上し(つまり阪和線を上り)天王寺に到着します。
「しらはま1号」はここから和歌山線に入り五条駅を経由し高田駅から桜井線に入ります。そして桜井線経由で奈良駅に到着。ここから関西線に入ります。亀山駅に到着すると「紀州2号」を併結します。
この「紀州2号」は「しらはま1号」と同様に名古屋行の列車ですが「しらはま1号」とは逆向きの紀勢東線を経由して走ってきます。

紀州2号」は紀伊勝浦駅を 12:24 に出発すると新宮駅に 12:43 に到着し 12:45 に出発します。ちなみに紀伊勝浦駅を出発した時は京都行の「くまの」を併結しています。
紀州2号・くまの」は多気駅に到着すると、鳥羽発京都行の「志摩1号」を併結します。そして前述の亀山駅に到着するのです。

亀山駅では「しらはま1号」と「紀州2号・くまの・志摩1号」が合流し、名古屋行の「しらはま1号」と「紀州2号」が併結、京都行の「くまの・志摩1号」の2列車に再編されます。

こうして「しらはま1号・紀州2号」は関西本線を走り名古屋に到着。一方の「くまの・志摩1号」は「しらはま1号・紀州2号」とは逆向きに関西本線を走り、柘植駅から草津線に入り草津駅大津駅を経て京都駅に到着します。

興味深いのは「しらはま1号」「紀州2号」はともに新宮駅から乗車することができる名古屋行急行で、両者は亀山駅で併結される訳ですが、「しらはま1号」の新宮発車は 8:25「紀州2号」の新宮発車は 12:45 と、実に4時間20分も時間差があることです。さすがに「しらはま1号」を通しで乗車する人はいなかったでしょうが、しかし興味深い運用です。しかも紀勢本線を東廻りと西廻りそれぞれで進んできて併結するのですから面白いですね。
ちなみに「しらはま1号・紀州2号」の名古屋到着は 17:30 ですが、新宮駅を 13:45 に出発する特急「くろしお1号」名古屋行の名古屋駅到着時刻は 17:52 です。