自動車や飛行機、また船舶はパッと見て前後が明確にわかります。
一方で鉄道車両はパッと見ても前後がわからない車両が結構あります。
昔の蒸気機関車は前後がすぐに分かりましたが、ディーゼル機関車や電気機関車の多くはどちら側も同じ様に見えて前後がわかりにくいです。
電車や気動車の場合は運転台がある車両はそちらが前とわかりますが、それ以外の車両や多くの客車は前後がわかりにくいですね。
JR(旧国鉄時代から)では、電気機関車やディーゼル機関車の場合は、車両の左右側面に「1」や「2」という数字を四角で囲んだ小さなプレートがついています。これは「エンド標記」と言って1エンドが前、2エンドが後となります。
これに対して電車や気動車、客貨車の場合は車両の4隅に1位~4位を決め、1~2位が前、3~4位が後となります。
図にすると以下のようになります。
1位 | 3位 | ||
前 |
|
後 | |
---|---|---|---|
2位 | 4位 |
つまり、1~2位側と言えば「前」を指し、1~3位側と言えば「右側面」を指すという具合です。
そして、1位側は次の要素に該当する場所を指します。ただし、以下の条件が複数該当する場合は、上位のものを優先させます。
- 運転室(回送用運転装置付のものを除く)のある場合は運転室側。但し、両側に運転室のある場合は、主たる運転用操作機器のある運転席側
- 運転室のない場合は、車内において車端に向い、制御回路の引通しが左側となる時の前方
- 出入台が一端のみにある場合は、出入台のない側
- 合造車は優等室側、食堂、郵便、手荷物等の各室と客室との合造車は客室側、郵便室と手荷物室との合造車は郵便室側
- 各等全室で一端に便所のある場合は、便所のない側
- 食堂全車は、料理室のない側
ただ、近年はJRでもこの決まりに該当しない車両が登場しています。これは編成で車両の前後が異ならないようにするためのようです。