天鉄局NB運転区

国鉄天王寺鉄道管理局で活躍した車両の話題を中心に、鉄道模型(Nゲージ)とBトレインの話題なども記してゆきます。

和歌山市駅発 東京行

前回は、東京発和歌山市駅行の夜行列車について書きました。

 

今回はこの列車の逆方向、和歌山市発東京行きの列車について、同じく昭和39年10月ダイヤ改正東海道新幹線開業)の時刻表から追いかけてみます。

和歌山市~王寺

まずは和歌山市駅和歌山線の 528レ として王寺駅に向かいます。
ちなみに和歌山市駅の次に書かれている和歌山駅は現在の紀和駅のことで、現在の和歌山駅はこの当時は東和歌山駅と呼ばれていました。
和歌山線和歌山市駅を出発して、現在の紀伊中ノ島駅(この時刻表では中島と記載)に駅があり田井ノ瀬駅へと繋がっています。
現在は紀伊中ノ島駅手前で現在の和歌山駅(当時の東和歌山駅)方面に曲がって線路が敷かれています。

各駅停車ではないものの、準急や急行というわけではなく普通列車として運転され、王寺駅には 20:30 に到着します。

 

王寺~名古屋

王寺駅では、湊町駅からやってきた急行「大和」に併結されます。
「大和」は2分後の 20:41 到着。併結作業を行って、9分後の 20:50 には王寺駅を出発します。

ちなみに「大和」の湊町駅出発時刻は 20:13。東京行の寝台急行として著名な「銀河」は、この時代の時刻表で 21:20 に大阪駅を出発(20:40神戸駅始発)しますから、「大和」の 20:13 発は妥当な時間でしょう。

「銀河」が東海道本線で東京に向かうのに対して「大和」は関西本線経由で名古屋まで向かい、名古屋から東海道本線に入り東京へと向かいます。

列車番号は 204レ。奈良駅には 21:05 に到着して9分間停車します。ここで南紀観光団体列車を併結すると書かれています。

こうしてみると、奈良~東京の寝台急行も兼ねていますね。

下り列車では亀山駅で鳥羽行急行「伊勢」を分割しましたが、上り列車では亀山駅では何もなく3分の停車です。

そして名古屋駅には 23:42 の到着。

 

名古屋~豊橋

名古屋駅では7分停車しますが。「大和」には出発時から B寝台車 が連結されていますが、ここでさらに寝台車が増結されるようです。

名古屋駅の出発は 23:50 ですが、時刻表には「名古屋で連結される寝台車は22時30分から使用できます。」と書かれていて、どうやら出発の1時間以上前から利用が出来たようですね。
自由に乗車できるように読み取れますから、1時間以上もホームに増結編成が停車していると想像されます。
現代ではちょっと考えられないゆったりとした時間の流れです。

先程触れた「銀河」は約1時間後の 0:51 に名古屋駅を出発します。
また、下り列車の記事で触れた東京~大阪の寝台急行「明星」は約30分後の 0:22 名古屋駅出発です。
「月光」は 2:00 の出発。このページに記載のない「金星」は更に遅くて 2:14 の名古屋出発です。

 

豊橋~東京

名古屋駅で寝台車を増結した「大和」は東京駅に 6:40 に到着します。

下り列車では「伊勢」を併結しましたが、上り列車では和歌山市発の寝台車を連結し、名古屋駅で増結を行うだけで、他急行の併結はありませんでした。

湊町駅を 20:13 に出発して、東京駅に 6:40 に到着する「大和」は、出発時間は若干早いかもしれませんが、東京で朝から行動するには十分な時間に到着する列車として、また大阪方面だけでなく奈良や名古屋からの東京方面寝台列車としても機能する列車だと思います。

一方で和歌山市駅発の寝台車は出発が 17:52 というのはいささか早すぎる気がします。

下り列車と同様に、東和歌山駅を 19:15 発の準急「第4きのくに」に乗ると天王寺に 20:06 到着。「大和」が天王寺 20:20 出発ですから乗り換えることが可能です。
和歌山市駅と東和歌山駅と若干出発駅が異なりますが、出発時間の差は1時間半近くあります。

 

こうして検証してみると、この 東京~和歌山市 という寝台車1両の運行というのは実際にどういう利用状況だったのでしょう。

大変に気になるところです。